テーマ: 1~3歳頃の自己と他者理解の発達
:集団の発達的基板を考える理論的整理
講 師 木下孝司さん(神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授)
日 時 2025年5月24日(土)10時~15時半
(zoom入室は9時45分から)
開催形態 対面とzoom(ミーティング)のハイブリッド開催
※録画配信はありません
会 場 コラボしが21(滋賀県大津市打出浜1-2)中会議室
受講料 一般 6,600円
人間発達研究所会員 3,850円
25歳以下会員(1999年4月2日以降生まれ) 2,200円
※この企画は2024年度開催予定だったものです。2024年度末で退会された方も会員でお申し込みいただけます。
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内容
講義概要
私たちは,自己の意図・要求の実現を目指すとともに,他者との相互了解や協調を求める。それは時に葛藤を生じさせ,自他理解を深める契機ともなる。1〜3歳頃,まさにこうした自他をめぐる状況が生じ始め,「自我の拡大」がみられる一方で,仲間とのつなりを求めるという二側面が顕著になり,仲間集団の発達を考えるのに,この二側面を統合的に理解する必要がある。
発達心理学の立場から,集団の発達は十分に扱えていないテーマである。その糸口を探るべく,本講義では,1,2歳児における自他理解を支える集団の発達的基盤について,理論的な整理を試みる。そのために,まず1,2歳頃の発達的特徴について振り返った後で,集団の系統発生と個体発達に関するTomasello,M.(2019)の共有志向性仮説を紹介する。そのうえで,保育などの実践現場における1,2歳児の集団形成を考えていくのに,共有志向性仮説を補完すべき要因について,これまでの発達研究の知見から確認していく。特に,「可逆操作の高次化における階層-段階理論」(田中,1987)や,「自己と『心の理解』の発達モデル」(木下,2008)などによって得られている知見によって,1,2歳児の集団形成に関わる要因を整理する考察を行う。
いずれも作業仮説の提案に留まるが,集団の発達をとらえるのに,個人の発達のどの側面に着眼したらよいのか,参加された皆さんと意見交換できれば幸いである.
講義予定
- 10:00~10:05
- 開会挨拶と講師紹介
- 10:05~11:35 講義1
- ①1,2歳頃の発達的特徴と集団形成の開始,②Tomaselloの共有志向性仮説
- 12:35~14:05 講義2
- ①乳幼児期の「自己と『心の理解』の発達モデル」,②1,2歳児における集団の発達的基盤(共有志向性仮説を補完する要因:感染・同調,集団の境界,「いっしょに〜したい」要求)
- 14:20~15:30 講義3
- ①集団の発達に影響を与える保育的要因(大人を通した社会規範の取り込み,文化的魅力,物の特性),②2歳児の集団づくりについて,③まとめと今後の課題
参考文献 (事前学習の必要はありません)
・木下孝司. (2008). 乳幼児期における自己と「心の理解」の発達. ナカニシヤ出版.
・Tomasello, M. (2019). Becoming human: A theory of ontogeny. Harvard University
Press(トマセロ,M. 大藪泰(訳) (2023) トマセロ 進化・文化と発達心理学:人の認知と社会性の個体発生をさぐる 丸善出版)
・田中昌人・田中杉恵. (1984). 子どもの発達と診断3─幼児期Ⅰ. 大月書店.・板倉昭二(編)(2023).比べてわかる心の発達―比較認知発達科学の視点.有斐閣.
講師プロフィール
1961年、鳥取市生まれ。京都大学教育学部、同大学院教育学研究科で学び、静岡大学教育学部助教授を 経て、現職.
専門は発達心理学。著書は『乳幼児期における自己と「心の理解」の発達』(ナカニシヤ出版),『「気になる子」が変わるとき:困難をかかえる子どもの発達と保育』(かもがわ出版),『子どもの心的世界のゆらぎと発達:表象発達をめぐる不思議』(共編著,ミネルヴァ書房),『心の理論:第2世代の研究へ』(分担執筆,新曜社)、『新版 教育と保育のための発達診断 下』(共著,全障研出版部)、『新・育ちあう乳幼児心理学 : 保育実践とともに未来へ』(共編著,有斐閣)など。
申込方法
- 申込サイト から
- >>> 申込サイトへ(このサイトを離れます)
- 郵便局から
- 郵便局に備え付けの払込取扱票に
氏名・生年月日・参加メールアドレス・ご所属を記入の上,下記の口座にご送金ください
zoomで参加の方は,メールアドレスの記入漏れがないよう,ご注意ください
口座記号-番号 01080-4-26819 加入者名 人間発達研究所
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