テーマ: コミュニケーションの初期発達
――身体と環境と物との相互作用による個体発達進化――
講 師 竹下秀子さん(追手門学院大学心理学部教授)
日 時 2024年3月24日(日)10時~16時(開会挨拶は9時55分から)
開催形態 対面とzoomのハイブリッド開催
会 場 コラボしが21(滋賀県大津市打出浜1-2)
受講料 一般 6,600円
人間発達研究所会員 3,850円
25歳以下会員(1997年4月2日以降生まれ) 2,200円
内容
講義概要
私たちは現生霊長類の一種であり, ホモ・サピエンスを種名としている.
30~
20万年前にアフリカに起源し,
10数万年前に出アフリカしたらしい.数万年前には地球上に現生する唯一のヒトとなったため,自らの出自を理解するには,現生の霊長類種との比較が重要な方法となる.私自身は現生で最近縁のチンパンジー等の参加を得て,発達初期からの行動や母子のかかわりの異同を探る研究に携わってきた.本講では,私たちが,
1)どのように,いつ,生まれるか,
2)どのように育つか,育てられるかについて比較発達研究から得られた知見を紹介し,身体と環境と物との出会いによって他者とのコミュニケーションがどのように育まれるか,即ち,言語獲得の基盤がいかに生みだされてきたか,哺乳類,霊長類,ホミノイドを経て,ヒトの系統で継承,改変されてきた母と子のかかわりによる個体発達進化の意義を考えたい.
講義の流れ
1コマ目(10:00~11:00予定)は,霊長類の起源からヒトの系統の盛衰,「個体発達が進化する」について説明し,ヒトの系統において生じた出生時の身体の巨大化,姿勢運動の未熟と脳容積の拡大の連関から,ホモ・サピエンスの出生と成長の現生霊長類における特異性を述べる.
2コマ目(11:20~12:20予定)は,0~1歳期の行動発達評価の視点について説明し,他の現生ホミノイドから峻別されるホモ・サピエンスの初期発達とこれに対応する母親の養育の特徴を述べる.
3コマ目(13:20~16:00予定,途中小憩含む)は,物の操作や道具使用,共同注意,ジェスチャー,描画,援助行動等にかかわる比較発達研究の諸成果を紹介し,環境中の「物」と自他身体の関係性が言語獲得の基盤にあり,ホモ・サピエンスに特有の「創造と想像」の世界を切り拓く源泉となってきたことを述べる.
参考文献
・板倉昭二(編)(2023).比べてわかる心の発達―比較認知発達科学の視点.有斐閣.
・D・スプレイグ(2002).サルの生涯、ヒトの生涯―人生計画の生物学.生態学ライブラリー13.京都大学学術出版会.
・竹下秀子(2014).第1章 発生する〈身体〉―姿勢運動と手指操作の発達進化.澤江幸則・川田学・鈴木智子(編).〈身体〉に関する発達支援のユニバーサルデザイン.シリーズ:発達支援のユニバーサルデザイン第3巻.金子書房.
・竹下秀子(2022).サピエンスの起源と発達進化―胎児期からの子育ちと子育て.障害者問題研究,50,146-153.
・マイケル・トマセロ,大藪泰(訳)(2023)進化・文化と発達心理学―人の認知と社会性の個体発生をさぐる.丸善出版.
・フランス・ドゥ・ヴァール,柴田裕之(訳)(2020).ママ,最後の抱擁―わたしたちに動物の情動がわかるのか.紀伊國屋書店.
講師プロフィール
大阪生まれ.京都大学大学院教育学研究科博士後期課程中退.京都大学博士(教育学).滋賀県立短期大学幼児教育学科,滋賀県立大学人間文化学部を経て,同大学名誉教授.
2017年から現職.
1982年から京都大学霊長類研究所,日本モンキーセンター他の国内外飼育研究施設の連携を得て,現生霊長類の初期発達の比較研究に従事.日本発達心理学会,日本赤ちゃん学会,日本子ども学会,日本霊長類学会,日本動物心理学会他.日本学術会議連携会員(
20期、
22-23期).臨床発達心理士.
著書に『心とことばの初期発達』(東京大学出版会),『赤ちゃんの手とまなざし』(岩波書店),『比べてわかる心の発達―比較認知発達科学の視点』共著(有斐閣)
申込方法
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