講 師 中村隆一さん(人間発達研究所所長)
日 時 2021年2月14日(日)10時~16時30分(1コマ90分3コマ、ゼミ形式)
会 場 オンライン(オンライン会議システム「zoomミーティング」を利用します。
受講料 一般5,500円(5,000円+税)、会員3,850円(3,500円+税)
25歳以下会員(1994年4月2日以降生まれ)1,100円(1,000円+税)
趣旨(はじめに)
田中昌人による「可逆操作の高次化における階層-段階理論」は,理論化の基礎概念として「可逆操作」が1965年頃に導入された.また,乳児期から概ね10歳頃までの時期に相当する発達の「階層」が特定されたのは1970年代半ばである.このようにして,一応の理論化がなされてすでに半世紀となる.その後,例えば発達相談における発達診断の理論的な基盤の一つとなってきた.そればかりでなくその妥当性は発達相談という臨床的な検証を通じて,いいかえると経験的に検討されてきた.
同時に,「可逆操作の高次化における階層-段階理論」は,その生成初期から疑問や批判も受けてきた.その批判の中には,もちろん発達理解の深まりのために欠かせないものもあるが,決して学問的とは言えない批判もある.とりわけ,田中が「可逆操作の高次化における階層-段階理論」の理論化する背景に,1960年大に顕在化してきた戦後日本がかかえる「発達の保障」を阻害する現実との格闘の過程もあり,問題を一層複雑化していた.
もとより「可逆操作の高次化における階層-段階理論」は現在においても完成体ではない.例えば,田中昌人は晩年において,その理論的な展開に「発達の大階層」という新しい概念を組み込むことを企図していた.したがって,「可逆操作の高次化における階層-段階理論」にも依拠しつつ発達理解を深めていこうとするとき,その理論そのものが発展していくものであり,それを学ぶ私たち自身にも「発達」が求められている.
集中講義でとりあげようとする事項
①田中の「可逆操作の高次化における階層-段階理論」がどのような要請のなかで登場してきたのか.学校教育制度・近代教授学の登場というここ二〇〇年の歴史的経過を俯瞰する中で示す
②田中の「可逆操作の高次化における階層-段階理論」にどのような実証的な根拠があるか.心理学研究上の方法論にも留意しつつ田中の典型的な研究論文をもとに示す
③田中の「可逆操作の高次化における階層-段階理論」に再構成を検討すべき点があるとすればどのような点か.講師の臨床的な経験をもとに示す
④田中の「可逆操作の高次化における階層-段階理論」に今後実践的臨床的な意味を持続的に付与することが可能であるとすれば,つまりその生命力が維持されるためにはどのような点が求められるか.
今回の集中講義では,主として①②について受講者と深める.
講義にあたっての配慮点
①心理学初学者を念頭におき心理学の方法論的な制約について紹介する
②可能な限り一次資料を供覧し受講者自身による批判的検討を可能にする
③必要な基本概念について都度講師の可能な範囲で解説する
④意見交換・討論の機会を組み込んですすめる
到達目標
受講者が田中の「可逆操作の高次化における階層-段階理論」について批判的に紹介できる基礎的知識をえることを到達目標にする
その他
①補助教材として『発達の旅 人生最初の10 年 旅支度編』(クリエイツかもがわ 2013)を用いるが,講義は主にそれを補足する形で進める
②基本的な率直な疑問を歓迎する
③講義は,90分一コマ,計3コマとする
10:00~11:30 講義1(90分)
11:30~13:00 休憩 (90分)
13:00~14:30 講義2(90分)
14:30~15:00 休憩(90分)
15:00~16:30 講義3(90分)
◆当日のレジュメ、資料は、ダウンロードでご案内します。
補助教材『発達の旅 人生最初の10 年 旅支度編』(クリエイツかもがわ 2013)は、こちら<<<からお求めいただけます(このサイトを離れます)。
◆当日参加出来なかったり、インターネット環境が不良だった方の録画の配信は、終了後、編集期間を経てのご案内になります。
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