凡人の私にとっては、正直難しかったです。 けれども、発達を理論的に理解することと、日々の保育実践のなかでのいわゆる勘所(肝)をつかむことが同時進行で学べるこのコースは
魅力的でした。
中村先生の壮大で、奥深いお話を聴き、「う~ん、難しい...」と思いながらも、日々の子どもの顔が浮かんだり、「ああ、あの子はこういう ふうに思っていたのかなあ」とか、「そうか、今度はこういうふうにかかわってみよう」と思えたりしました。
日々私の目の前にいるすべての子どもたち一人ひとりの現在(いま)とその先(将来)を豊かなものにしていくために貴重な一年間の学びでした。 (学童保育指導員)
次の3つの課題に迫ろうというのが、「個人の発達の系」概論コースです。
①発達理解と歴史理解を得る
人間の発達を考える際の基本点は発達の「これまで」を未来につなぐことにあり、その結節点が発達の「今」である、ということになります。そして、「今」の姿の背景には、さまざまな歴史があり、この「個人の発達の系」概論コースでは、まず「個人の発達の系」に、さまざまな歴史のひかりもあてながら、発達について立体的に考えてみたいと思います。その一つは、生命が出現し人類の祖先が登場してきた進化という歴史です。また、人間が「発達」という現象に気づき、それを研究の対象にしてきたという人類の歴史にもふれます。あわせて心理学の優生学・優生政策への関与の歴史やその過ちの克服の努力の歴史についても発達研究の歴史という形でふれます。
②発達のすじ道を知る
人間の発達を支える体系としての発達保障論は、「ひとりの発達が万人の発達になるような」社会の実現とともに、ひとりひとりの発達を具体的に支える方法や技術を必要とします。そうした方法や技術の検討・再構成は、もっぱら支援者固有の専門性ですが、その場合に発達をとらえて内発的な根拠が把握されていることは、重要な意味があります。「啐啄(そったく)」ということばがあります。雛(ひな)が卵からかえる時、卵の中にいる雛がからを中からつつく(その音が啐)ことと、親鳥が殻を食い破る(啄)とが一致して、雛鳥が殻から出てくることができる、という意味です。卵の殻の中の様子をつかんで支援する、これが発達のすじ道を知ることの重要な中身になります。
具体的には、受精から9、10歳頃までの時期を述べようとします。
③発達認識の理論的理解と勘所(かんどころ)を学ぶ
同時に、支援者の日々の取り組みの中で、支援の方法や技術が深まるためには、その材料となるさまざまな記録がとても重要になります。その記録をつけるとは、行動や姿を「ことば」にすることですが、その「ことば」がゆたかになっていることが必要です。実際には、変化しようとしている姿であるのに、逆戻りの姿であったり静止した姿としか記録できないとすると、それは支援の方法や技術を検討する材料にはなりにくいのです(発達の理論的理解を得る)。
さらに、支援は、人間同士のかかわり・やりとりの中で進んでいきます。ところが、私たちは、話し言葉でのやりとりになれきっているために、話し言葉が無い状態の人たちとのやりとりに戸惑いを感じることにありますが、そうした戸惑いにもできるだけ適切な対案を示したいと思っています(発達の時期ごとのやりとりのツボを知る)。
(写真は講師の中村隆一さん;研究所所長/立命館大学)
すすめ方・資料・参考図書
教材は、当日に配布する資料、スライド、VTR などです。
講義は用意したスライドをもとに進めますがHandoutは印刷していません。Handoutやレジュメ、講義の録画は下記からダウンロードできます。
ダウンロードサイト(このサイトを離れます)
2019年度受講の方へ
2019年度最終講義(3月15日)分は、上記サイトにアップロードしています。(6月5日追記)
参考図書
田中昌人・田中杉恵・有田知行『子どもの発達と診断1~5』(大月書店)
中村隆一『発達の旅 人生最初の10年 旅支度編』(クリエイツかもがわ 2013)
こちらからダウンロードしてご試聴ください (2016年度講義より)
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