人間発達研究所設立20周年を目前にひかえた2005年11月18日に病気のために亡くなった田中昌人前(初代)所長は,発達研究を通して人間発達の真実に迫りつつ,そこからあきらかになった発達的根拠をもって発達保障制度のありかたを提起する活動の先頭に立ってこられました.人間発達をめぐる大切な局面を迎える中で,人間発達研究所は,そうした提起を真摯に組織的集団的に受け止めていけるように,新しい一歩を踏み出したいと考えます.
 そのためにも,田中昌人前所長のこれまでの研究の成果を多くの人たちの共有財産とできるように資料化し保管することともに,研究の成果だけではなく,その過程,人間発達の真実に迫ろうとする先駆者のひとりとしてのかけがえのない努力を批判的創造的に若い世代に伝えて行く努力が今日の人間発達研究所の活動の重要な柱であると考えます.


田中昌人さんプロフィール
  
田中昌人(たなかまさと)
 京都大学名誉教授、大学評価学会共同代表、人間発達研究所所長

 平成17(2005)年11月18日逝去。享年73歳。
 昭和29(1954)年、京都大学教育学部教育心理学専攻卒業。京都大学教育学部助手を経て、昭和31(1956)年、大津市立南郷中学校近江学園分校教諭、昭和39(1964)年滋賀県立近江学園指導係長。精神発達に関する研究チームを組織、妊娠中毒症などと発達障害との因果関係を調査研究。昭和33(1958)年から大津市の乳幼児健診相談活動に参加、昭和38(1963)年創設された重症心身障害児施設・びわこ学園を舞台にした療育実践記録映画「夜明け前の子どもたち」(昭和42年)の制作に携わった。昭和41(1966)年日教組の教研集会・心身障害児教育分科会を契機に、昭和42(1967)年全国障害者問題研究会が結成され、その初代全国委員長として活躍。昭和45(1970)年京都大学教育学部助教授となり、昭和58(1983)年教授、平成7(1995)年停年退官、名誉教授。平成8(1996)年より龍谷大学文学部教授。平成15(2003)年まで同大大学教育開発センター・センター長を務めた。
 専攻分野は教育心理学、教育指導論、発達診断学、発達保障論、障害者教育学。研究テーマは、発達における内的合法則性の科学的解明(「可逆操作の高次化における階層−段階と発達保障の階梯に関する理論」)、および、日本における発達の概念の導入についての歴史的研究。
 所属学会・団体は、大学評価学会(共同代表)、日本教育学会、日本心理学会、日本教育心理学会、関西教育学会、関西心理学会、日本霊長類学会日本応用心理学会(元会長)、全国障害者問題研究会(顧問)