人間発達研究所研究指針 PDFファイルはこちらからダウンロードできます(PDF

人間発達研究所紀要編集委員会(起案:黒田 学)
2015年10月22日第1次案
2015年11月26日第2次案
人間発達研究所運営委員会:2015年12月4日採択

はじめに
 人間発達研究所は,その設立目的に,「人間の発達が権利であるという考えは国際的にも大きな位置を占めるようになってきています.発達の権利を実現するために,人間の発達はどのような道筋をたどるのか,またどのような条件や手だてが必要なのかを明らかにすること」が求められるとし,人間発達研究所は,「ゆたかな“人間発達”の実現,“発達への権利”の保障を願う人たちの研究・学習と,その成果の普及をめざして,非営利の組織」として,「人間の生涯を見通しながら実践的な姿勢と総合的な視野を大切にして活動をすすめたい」と宣言しています.
 このような設立目的に沿って,人間発達研究所規約では,「研究所は人間発達を自主的集団的に研究し,発達科学の創造的発展と実践・研究の今日的課題にこたえること」(第2条)を目的としています.
 以上の趣旨に沿って,人間発達研究所は,研究所および会員各位の研究活動の責務を明確にし,より旺盛な研究活動が展開できるように,ここに人間発達研究所研究指針を定めます.

1.研究における人間への尊厳と権利性,社会正義にかかわって
 人間の発達の実現と権利の保障を前提にした研究活動は,研究の対象となる人間に対する尊厳を確保し,民主的な社会に相応しい社会正義を貫き,基本的人権の保障に対する自覚がなくてはなりません.個人や団体,組織の名誉を毀損することや無用な情報開示がなされることのないように格段の配慮が必要です.研究活動は,公平かつ客観的,科学的な研究を常に心がけなければなりません.
 研究対象者(個人や団体,組織)に対しては,個人の尊厳への配慮と誠実な対応,研究対象者の同意,研究公表にかかわる個人情報の保護,事前了解が必要です.特に,写真の掲載に際しては,本人の肖像権にかかわる同意と配慮などが,研究と公表の前提として求められます.

2.著作者の権利と共同研究,研究資金にかかわって
 著作権法は,「著作者等の権利の保護を図り,もつて文化の発展に寄与すること」(第1条)を目的として,著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(第2条)と定義し,「論文」を著作物の一つとして例示しています(第10条).人間発達研究所は,著作者としての会員の権利を守り,また,研究所内外の他者の権利を侵害しないように留意すると共に,会員各自は,著作権および著作権法に基づく研究結果の公表に留意しなければなりません.
 また,共同研究においては,研究目的および研究活動に対して,研究者間の合意を図り,研究上の役割分担を明確にすることが重要です.研究結果の公表に際しては,データの取り扱いや公表の方法(内容,時期,媒体など)についても合意すること,著作物には共著者名を明記するなど,共同研究者間で信頼を図り,民主的な手続きに留意しなければなりません.研究者が相互に誤解を招くことのないように慎重な研究過程が求められます.
 本研究所の研究活動助成費をはじめ,外部資金等の研究費を原資として研究活動を行う上で,研究目的に適合した支出を行い,会計処理を適切に行い,その使用が不正なものであってはなりません.研究費の使用規定に従って使用すると共に,研究成果の公表に際しては研究資金の出所を明示することに留意しなければなりません.

3.研究所紀要への論文投稿など研究結果の公表にあたって
 人間発達研究所は,会員の研究活動を高める上で,研究所紀要や通信等へ投稿を公平に確保することが必要です.同時に,会員は執筆者として研究成果を公表する際に,研究成果の独自性,先行研究の尊重,執筆規定の遵守が求められます.
 研究成果の独自性を担保するには,執筆者は,他の研究者の著作物に対する尊重を最大限に考慮すると共に,引用等において盗作や剽窃が決してないように執筆に対する責任を最大限自覚しなければなりません.同時に,データの改ざんやねつ造をしてはなりません.
 先行研究の尊重については,執筆者が先行研究を十分に理解し,引用等(図表を含め)の際には引用箇所や出典を明示することは研究活動の基本であることを自覚し,先行研究を批判的に検討する場合においても公正かつ科学的な表現でなければなりません.
 執筆規定の遵守については,執筆者は,紀要に関しては「人間発達研究所紀要執筆規定」を熟読し,規定に沿った執筆が必要となります.あわせて,紀要,通信への投稿に際しては,個人情報の漏洩や先行研究の引用への注意を欠くなど,研究結果の質を問われることのないように留意しなければなりません.また,同一内容またはほぼ同一内容の論文を同時に他誌にも掲載するという,いわゆる『二重投稿(多重投稿)』がないことは,研究結果の公表にあたっての原則です.

おわりに
 人間発達研究所は,会員相互が学びあうことで,全体の共有財産にしてゆく共同研究を大切に考えています.現代社会における,人間の発達をとりまく危機的な情勢を明らかにするだけでなく打開する方向を探ること,ライフステージや学問領域によって深められた実践と研究の成果を結びつけ,つきあわせるような研究を進めることを重視しています.人間に関するさまざまな問題を発達という一つの観点から重ね合わせて,共通する法則性を解明しながら固有の問題に再び切り込んでゆくという方法は,人間発達研究所ならではの研究姿勢です.
 本研究指針は,研究活動を萎縮させるのではなく,自由かつ科学的な研究活動を旺盛に展開する上での方向性を会員の創意により定めるものです.なお,本研究指針は,以下の参考資料等,主要学会の研究指針を参照し作成しており,詳細については会員各自で参照されることを推奨します.

*参考資料
日本社会学会「日本社会学会倫理綱領にもとづく研究指針」2006年10月28日
(http://www.gakkai.ne.jp/jss/about/researchpolicy.php)
日本教育学会「一般社団法人日本教育学会倫理綱領」
(http://www.jera.jp/wp-content/uploads/2013/03/26788ccfe3c5c5679296aa9e0bfa09ee1.pdf)
日本教育心理学会「日本教育心理学会倫理綱領」
(http://www.edupsych.jp/wordpress/assets/6379f1f99db32ddd2cb9f70826901188.pdf)
日本社会福祉学会「一般社団法人日本社会福祉学会 研究倫理指針」2010年4月
(http://www.jssw.jp/event/conference/2013/61/ethics/index.html)
日本学術振興会「科学の健全な発展のために」編集委員会「科学の健全な発展のために-誠実な科学者の心得-」2015年 (https://www.jsps.go.jp/j-kousei/data/rinri.pdf)



研究所紹介のページに戻る

紀要のページに戻る